ヒトは胃で食べるのではなく、脳で食べている

ストレスが食欲中枢を乱す原因になる場合があるのです。

肥満治療における脳の大切さを示す基礎的研究として、昔から数多くの動物実験がなされてきました。

脳の視床下部という場所に食行動をつかさどる満腹中枢と空腹中枢がありますが、それぞれを破壊することで食欲中枢の働きを確かめた実験があります。

それによると、満腹中枢を破壊した場合は、「満腹した」という信号を発信することができなくなり、どんどん食べ続けて、どんどん太っていったのです。

逆に空腹中枢を破壊した場合は、食欲がなくなり、えさを与えても食べなくなり、やせていきました。

ヒトの場合は、視床下部に加えて、これまでにも説明したように、さらに大脳皮質が重要な関わりをもち、その「脳におけるプログラミングの狂い」が食欲中枢の働きを狂わせる原因であると言って、ほぼ間違いはないと思います。

つまり、私たちは、視床下部と大脳の、生理的に高次なプログラムに従って食行動をしているのです。

食べることさえしなければ太らないことはみんなわかっているので、肥満になるほどに食べ過ぎてしまうのは、まさに「脳疲労」によってそうなっているのです。

そして、その「脳疲労」の原因となているのは、夫婦仲が悪かったり、夫が単身赴任していたり、仕事がなかなかうまくいかない、人間関係がよくならない、などといったようなストレスです。

ストレスがきっかけになって、脳のプログラムが変わってしまうのです。

ストレスが、脳のプログラムに狂いを起こさせている、このメカニズムをきちんと踏まえて、はじめてダイエットの扉が開かれるともいえます。